え、これ自分のことだ…って思ったこと、ありませんか?
「なんでこんな簡単な字が読めないの?」
「昨日教えたばっかりでしょ?」
子どもに、あるいは自分自身に、そんな言葉を投げかけてしまったこと、ありませんか。
わたしは長いあいだ、「読み書き」って呼吸するのと同じくらい自然にできることだと思っていました。教科書を開けば文字が読める。鉛筆を持てば字が書ける。それが「普通」だと。
でも、そうじゃない子がいます。何度練習しても、「め」と「ぬ」がひっくり返って見えてしまう子。漢字の形が、パズルのピースみたいにバラバラになって頭に入ってこない子。
そして厄介なのは、その子自身が一番「なんで自分だけできないんだろう」と苦しんでいるということです。
この記事では、「読める・書けるは当たり前じゃない」という視点から、わたしたちが見落としがちなポイントを、具体的にお話ししていきます。
子育て中の方も、教育に関わる方も、あるいはご自身が文字に苦手意識を持っている方も、きっと「あ、そういうことだったのか」と思える瞬間があるはずです。
通信制高校で好きを仕事にするポイント①:文字は「見えている」けど「見えていない」ことがある
想像してみてください。
あなたが初めて外国に行って、看板の文字がミミズがのたくったような記号にしか見えない瞬間を。
目には映っているのに、意味が結びつかない。あの感覚に近いことが、母国語である日本語でも起きている子がいます。
たとえば、「わ」と「れ」。大人にとっては一瞬で区別できる形でも、視覚的な処理が少し違う子にとっては、パッと見たときにどちらか判断するのに人一倍時間がかかることがあります。
これは「サボっている」わけでも、「集中力がない」わけでもありません。
脳が文字を処理する回路の使い方が、人によって違うだけなんです。
まずこの前提を知っているかどうかで、子どもへの声のかけ方はガラッと変わります。「なんでできないの?」ではなく、「どこで引っかかってるんだろう?」という視点に変わるからです。
ポイント②:「読める」は一つのスキルじゃなくて、複数の力の合わせ技
読むという行為、実はものすごく複雑な作業の積み重ねでできています。
• 文字の形を認識する力
• その形を音に変換する力
• 音をつなげて言葉として理解する力
• 言葉の意味を思い出す力
• 文脈をつなげて全体を理解する力
これ、全部同時にやっているんです。しかも一瞬で。
たとえるなら、料理をしながら、レシピを読みながら、火加減を調整しながら、味見をしているようなもの。どれか一つでも苦手な工程があると、全体のスピードがガクッと落ちてしまいます。
だから「読むのが遅い」子を見たときに、「怠けている」と決めつけるのは早すぎるんです。
どの工程でつまずいているのかを見てあげることが、何よりのサポートになります。
ポイント③:「みんなできているから」というプレッシャーが一番つらい
クラスの中で、自分だけ音読につっかえる。
みんながスラスラ漢字ドリルを終わらせているのに、自分だけ半分も進んでいない。
この「まわりと比べられる」状況が、実は本人にとって一番のストレスだったりします。
わたし自身、読み書きに苦手さを抱える子どもたちのためのアプリを作っているのですが、開発を通してたくさんの声を聞いてきました。
共通していたのは、「できないこと」そのものよりも、「できない自分を見られること」への恐怖でした。
だからこそ、周囲にいる大人ができることは、「みんなと同じペースでできるようにすること」ではなく、「その子のペースで進める安心できる場所を作ること」なんだと思います。
ポイント④:「工夫すればできる」を、本人が知らないことが多い
ここが個人的にいちばん伝えたいポイントです。
読み書きに苦手さがある子の多くは、「自分は頭が悪いんだ」「努力が足りないんだ」と思い込んでしまいます。
でも実際は、やり方を変えるだけでスルッとできるようになることが、本当にたくさんあります。
• フォントを読みやすい形に変えるだけで、文字の判別がしやすくなる
• イラストと文字をセットで覚えることで、記憶に残りやすくなる
• 「読む」と「書く」を分けて、段階的に練習することで負担が減る
こういう工夫って、特別なことじゃなくて、ちょっとした視点の転換なんです。でも、その工夫の存在を知らないまま、「自分はダメなんだ」と思い込んでしまう子がとても多い。
これは本当にもったいないことだと、わたしは思っています。
ポイント⑤:大人になっても「読み書きの当たり前」は人それぞれこれは子どもだけの話じゃありません。
大人になっても、長い文章を読むのが苦手な人、漢字を書くときにいつも同じ字で迷う人、たくさんいます。それは決して「恥ずかしいこと」ではなく、脳のクセのようなもの。
「読める・書けるが当たり前」という前提を一度手放してみると、自分にも、まわりの人にも、もう少し優しくなれる気がします。
まとめ:まずは「当たり前」を疑うところから「読める」「書ける」は、生まれつき誰もが同じようにできることじゃありません。
つまずいている子がいたら、それは「その子の頑張りが足りない」からじゃなくて、「その子に合ったやり方にまだ出会えていない」だけかもしれません。
もし今、身近に読み書きで苦しんでいる子がいたら、あるいはあなた自身がそうだったら。
今日一日だけでいいので、「なんでできないんだろう」ではなく、「どうやったらできるかな」と、視点を変えてみてください。
その小さな一歩が、誰かの「できた!」につながっていきます。
